研究課題
本研究では、ハーフメタル系強磁性体を用いたエピタキシャルヘテロ構造を技術の核として、新しい概念のスピン制御デバイスを創出することを目的としている。前年度までに、ハーフメタル系ホイスラー合金(Co_2YZ)とMgOトンネルバリアを用いたエピタキシャル強磁性トンネル接合(MTJ)がスピントロニクスデバイスとして高いポテンシャリティを有することを示した。本年度はCo_2YZとMgOバリアを用いたMTJのデバイス高性能化に取り組み、以下の成果を得た。1.Co_2YZの室温での潜在的に高いスピン偏極率をMTJに十分に活かすためには、MTJの下部・上部両強磁性電極にホイスラー合金を用いるアプローチが有望である。本年度はこの着眼点に基づき、CCFA薄膜を下部・上部両電極に用いた全層エピタキシャル構造の交換バイアス型CCFA/MgO/CCFAMTJ製作技術を開発した。特に、上部CCFA電極堆積直後のアニール(アニール温度T_a)がデバイス特性の向上に大きな影響を与えることを明らかにすると共に、T_a=400℃に対して、室温のTMR比として60%(4.2Kで238%)の値を実証した。この結果は両強磁性電極にCo_2YZ薄膜を用いるMTJのデバイス基盤技術となるものである。2.同じく、Co_2YZに属するCo_2MnZ(Z=SiあるいはGe)を用いたCo_2MnZ/MgO/CoFe MTJについて、Co_2MnZ薄膜組成に着目して系統的な試作評価を行った。この結果、Coの割合の多いCo_2MnZ薄膜を用いた場合に、Coの割合の少ないCo_2MnZ薄膜を用いた場合に比較して、大幅に高いTMR比が得られることを示した。これによって、Co_2MnZ薄膜組成をCoの割合の多い側から化学量論的組成に近づけるアプローチが、良好なTMR特性を得る上で有望であることを明らかにした。
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