高抵抗Si基板上に堆積したSiGeが高い熱電性能を示すことを報告してきたが、高抵抗Si基板は、450℃程度の熱処理を加えると結晶内部に微量溶融している酸素がドナーとして電気的に活性化しキャリアを放出するという現象が存在する。いわゆるサーマルドナーと呼ばれる効果である。 本研究で見られた高い熱電効果は、膜抵抗の低下によるところが大きく、このサーマルドナーの影響を受けたものであると推定された。一方、基板の影響を受けないようにSOI基板を用いたところ、高抵抗Si基板で得られたような高い熱電特性は得られなかったが、従来のバルクSiGeを上回る値が得られた。歪みや結晶欠陥が引き起こしたものであると考えられる。
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