GaN単結晶育成において、転位密度10^4cm^<-2>オーダーが容易に達成され、ロッキングカーブ半値幅が50arcsec以下であることが分かっているNaフラックス法の実用化のために大型装置を開発し、導電性制御技術の確立に向けて高純度Naを用いたGaN単結晶育成を行った。 (1)大型結晶育成装置の開発:結晶を2inchまで大型化するために、装置の大幅な改良を行った。装置構造から見直し、新たな不純物対策を行うことで、5Nの窒素ガスを汚染されることなく育成部へ供給できるようにした。これによって坩堝壁上への核発生が大幅に抑制された。 (2)2インチ結晶の育成:15mm角の結晶育成においては、転位の多いMOCVD-GaN薄膜基板上にLPE成長させた場合でも、転位密度が大きく減少することが分かっていたが、一般的に大型の結晶を育成した場合には、結晶の反りなどの影響を受けやすいという問題がある。改良した大型結晶育成装置を用いて2インチのLPE成長を行った結果、クラックなどが発生することなく、約1.5mmの膜厚のGaN結晶を育成することに成功した。 (3)2インチ結晶の評価:初めてNaフラックス法によって育成された2インチGaN結晶の特性評価を行った。その結果、転位密度は2.3×10^5(cm^<-2>)と極めて低いこと、さらに、Na取り込み量については、10^<14>(cm^<-3>)オーダーと極めて低い不純物取り込みレベルであることが分かり、今後の導電性制御に向けた下地作りを完了した。
|