研究課題/領域番号 |
18360156
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
雨宮 好仁 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (80250489)
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研究分担者 |
葛西 誠也 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (30312383)
浅井 哲也 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (00312380)
廣瀬 哲也 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 助手 (70396315)
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キーワード | 量子ドット / 単電子 / 生体 / 反応拡散 / ニューロン |
研究概要 |
量子ドット非線形振動子からなる複数個の反応拡散系をニューラルネットワークで相互結合して自己組織化量子集積回路を構成するために、本年度はニューラルネットワークを量子ドット非線形振動子で構成する方法を開発した。 生体の神経細胞は電気的なスパイク信号を媒体として他のニューロンとコミュニケーションを行う。これを簡単にモデル化するため、ここではスパイク発生時の複雑な非線型現象を単純化して、ニューロンをスパイク点列の発生装置---スパイクニューロン---と見なす。このスパイクニューロンを量子ドットデバイスで構成するために、単電子トンネル事象をスパイク信号に対応させることを提案した。 生体ニューロンは三つの部分、すなわち樹状突起、細胞体、および軸索からなる。このうち軸索は単安定の量子ドット振動子を一次元結合することで電子化できる。細胞体を電子化するには、トンネル事象の時間平均個数に応じて出力のトンネル事象を発生するデバイスをつくればよい。これは、単安定の量子ドット振動子に複数の入力キャパシタ結合を付けることで実現可能である。細胞体と軸索を模倣するデバイス構造を設計し、その動作をシミュレーションで確認した。 生体ニューロンの軸索は末端で分岐し、その端部がシナプスと呼ばれる結合部を介して他のニューロンの樹状突起に接続している。これによってニューロン間で信号の授受を行っている。大まかにはシナプス結合強度が不変とみなしてもよいが、実際には結合強度がスパイクの個数や時間タイミングに相関して刻々変化する。このようなシナプスをダイナミックシナプスという。一定強度のシナプス結合は容易に構成できるので、基本的なパルスニューラルネットワークは構成可能である。しかし複雑な機能を実現するために、ダイナミックシナプスを量子ドットデバイスで構成する方法を現在検討中である。
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