研究概要 |
本研究では,新しい光波スポットサイズ変換(集光/拡大)(SSC)技術を開発すべく,(1)平面光回路型のSSCとしてカスケードアップテーパ,(2)光ファイバ型のSSCとして高屈折率層被覆(HILC)レンズドファイバを用いる,という2つのアプローチをとった。平成20年度の成果は以下の通りである。 (1)カスケードアップテーパからのアプローチ垂直テーパ導波路と平面テーパ導波路で構成されたSSCを作製し,光の入出力を単一モード光ファイバで行うことが出来た。1端当たりの過剰損失は3.4dBであり,良好なスポットサイズ変換特性を得た。さらに,発展型として垂直,水平方向の界分布を同時に変換できるSSC構造を新たに提案できた。より高性能化が期待できる。薄型化が可能なダウンテーパ型も考案した。今後はこれらの新型も含め,過剰損失の低減化をはかっていく。具体的には単一モード光ファイバを入出力とした全挿入損失を1dB以下にする計画である。 (2)HILCおよびプラノコンベックスのコンベックス型レンズドファイバからのアプローチスポット直径が10μmの通信用光ファイバの界分布を,波長サイズ(1.55μm)以下に集光できる高屈折率層被覆レンズドファイバ(HILCレンズドファイバ)を実現させることが目標であり,実際に1.6μmを実現してほぼ目標を達成した。さらにプラノコンベックス型HILCレンズドファイバを考案,設計して実際に試作した。その結果,理論的には波長の1/5以下のビーム径に集光できることを明らかにした。試作,実験によりその有効性を実証できた。作製方法を改善して量産性に優れた技術にして実用化を図ることが今後の目標である。
|