研究概要 |
波長可変レーザは,一つのレーザである範囲の波長の光を出力できるため,光ファイバ通信の光源としてのみならず,光ファイバや光デバイスの群遅延測定や光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の光源としても応用されている。従来の波長可変レーザのほとんどは光フィルタを機械的にチューニングすることで発振波長を変化させているが,フィルタのチューニング速度限界のために波長掃引速度に限界がある。そこで研究代表者らは,光フィルタを用いることなく光ファイバの分散を利用してモード同期周波数を掃引することで高速に波長を掃引でき,かつ増幅媒質として半導体光増幅器(SOA)を用いることで広帯域な波長可変が実現できる光ファイバレーザを発明した。 今年度は,波長1.3μm帯および1.5μm帯のリング型レーザを用いることにより,最高で100nmの波長範囲を200kHzの繰り返し周波数で掃引できることを示した。また,アイソレータが不要なリニア型レーザでも65nmの波長範囲を20kHzの繰り返し周波数で掃引できており,更なる広帯域化と高速化を進めている。さらに,波長1.5μm帯のリング型レーザを光ファイバグレーテイング(FBG)センサシステムに応用することにより,1kHzまでの動的な歪みを測定することに成功した。センサシステムの更なる高速化,高精度化を現在進めており,またFBGセンサのみならず光コヒーレンストモグラフィ(OCT)への応用なども進めていきたいと考えている。波長1.5μm帯のリング型レーザに関しては,SOAの代わりにEDFAを用いて高出力かつモード同期周波数の自由な設定が可能な構成についても研究を進めた。
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