1.時間多重表示モジュールの実現 高密度指向性表示を行う時間多重表示モジュールを提案した。これは、ひとつの表示モジュールで複数の指向性画像を異なる水平方向へ表示する。高フレームレート表示デバイスを変形二次元配置した光源アレイで照明し、指向性確保のために結像系に光源アレイと相似な配列の開口アレイを配置する。 高フレームレート表示デバイスにはDMDを用い、光源アレイには白色LEDアレイを用いた。指向性画像間のクロストークと結像系の収差の評価から、多重度を15に決定した。実際に時間多重表示モジュールを設計・試作した。DMDをフレームレート900Hzで駆動し、60Hzのフレームレートで15個の指向性画像の表示を実現した。 2.時間多重光学エンジンの実現 複数台の時間多重表示モジュールを変形2次元配置して空間的に多重化することで、多数の指向性画像を表示する時間多重光学エンジンを実現した。すべてのモジュールは、モジュールの開口アレイの開口部が水平方向に連続になるように、水平位置が一致しないように縦横に変形二次元配置する。 時間多重表示モジュールを4台試作し、これらを変形2次元配置して、60指向性表示を行う時間多重光学エンジンを実現した。 3.時間多重高密度指向性ディスプレイの実現 時間多重光学エンジンに共有レンズと垂直方向拡散板を組み合わせて、多重結像系を構成し、時間多重高密度指向性ディスプレイを実現した。 共有レンズとして組み合わせフレネルレンズを用い、垂直方向拡散板としてレンチキュラシートを用いた。異なる水平方向へ0.31°ピッチで60方向への画像表示を実現した。 4.制御システム 1台のPCで4台のモジュールの制御を実現した。プロジェクション型画像表示システムでは、収差による画像歪みが生じるので、表示画像を逆に歪ませて表示することで、画像歪み補正を行った。すべての指向性画像に対して画像歪みを測定し、歪み補正テーブルを用意した。
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