研究概要 |
本研究では,特別な光学フィルタやグレーティングなどを用いず,1つのフォトダイオードのみで,入射される光の波長分布強度がわかる世界に類を見ない"フィルタレススベクトルフォトダイオード"の製作・・検証を行い,その結果をもとに"フィルタレススペクトルイメージセンサ"を作製する。また,そのイメージセンサを用いて,これまで蛍光顕微鏡,蛍光スキャナなど高価で大型の装置が必要であったバイオチップを,一乾電池で駆動できるような超小型なバイオチップシステムを供することに本研究の目的としている。 本年度は提案を行っ七いるフィルタレス蛍光イメージセンサの基本的な性能の評価と応用について検討を進めてきた。電源,電流計および制御用めパーソナルコンピュータを備えたフィルタレス蛍光検出システムを新しく構築した。これにより測定の自動化が可能となった。励起光源には中心波長470nmのLEDを使用する。励起光は対物レンズで集光されてサンブルに照射される。サンプルには蛍光標識として広く用いられているTAKARA BIO INC のSYBR Green I を用いた。SYBR Green1は二本鎖DNAと結合することで中心波長520nmの蛍光を発生する試薬である。サンプルで発生した蛍光は直下のセンサに入射し,得られた電流値から計算することにより励起光,蛍光の強度を算出する。今回始めて,二本鎖DNA濃度の違いによる蛍光強度の変化を確認し,二本鎖DNA濃度0.1・Mまでの検出に成功した。この結果は従来の分光器を用いた測定結果と一致し,特別な分光器を用いずにフィルタレス蛍光検出センサにより定量検出ができることが明らかとなった。
|