研究概要 |
フォトゲートタイプCMOSイメージセンサ技術により,光学フィルタを用いずに1素子で蛍光と励起光を検出可能なセンサ構造を提案し,このフィルタレス蛍光検出センサを用いて蛍光、励起光の検出,およびDNAハイブリダイゼーションの定量評価に成功した.まず,シミュレーションにより理想的な原理検証を行った。シミュレーションにおいても励起光(400nm)を一定強度(10_2μW/cm_2),蛍光(500nm)を(10_2μWcm_2〜10^<-1>W/cm_2)で変化させて同時に入射し,電位の鞍の位置Wを変化させて得られた電流から,それぞれの波長の光強度を算出した。その結果,光強度:励起光強度=1/1000まで検出に成功した。測定限界はセンサの暗電流成分によって決まることがシミュレーションによって解っており,暗電流を減らすことで更なる高感度化が見込めた。次にDNA溶液の蛍光測定を行った。用いたDNA溶液は22塩基の2本鎖DNA5μlと蛍光標識SYBR Green1/10希釈の混合液である。励起光としては470nmのLEDを用いた。蛍光標識SYBR Greenは,ハイブリダイゼーションを行ったDNAに特異的に入り込み,蛍光をインターカレータであり,この蛍光の強度により,ハイブリダイゼーションした二本鎖DNAの量を定量化できる。実験によりこのセンサにより,ハイブリダイゼーションの定量的な測定を,蛍光フィルタを用いることなく行うことができることが明らかにできた。また,最小検出量は37.5nMであった。蛍光スキャナなどを用いた結果には劣るが,励起光源をレーザなどに変更することで,下限の拡大が期待できる
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