研究概要 |
デバイス構造を最適化したセンサの分解能の評価を行った.まずはLED等の疑似光スペクトルで評価を行ったところ,これまでその分解能が1:10程度までしか分解能がなかったが最適化を行ったところ1:100以上の分解能が出ることがわかった. 次に典型的なDNA検出用の蛍光ラベルであるSYBR GreenによるDNAのハイブリダイゼーション検出をおこなった.その結果,2本鎖DNAの含まれていないSSC Bufferの結果をオフセット(54.8μW/cm2)とし、このときの標準偏差(2σ=1.4)を雑音Nとして検出限界を求めると、検出限界(S/N=3)16.7nMであった. さらに,典型的なバイオ分野で用いられる蛍光ラベルであるFITCの検出をおこなった.FITCは、DNA、抗原抗体反応、たんぱく質等の検出に広く用いられる蛍光プローブであり、励起波長はλ_<ex>=495nm、蛍光波長はλ_<em>=520nmである.各測定点における測定回数は30回とした.低濃度側では線形応答が観測され、蛍光検出が可能であることがわかった.最適化していないときの最小検出限界が,5.8μMであったのに対して,最適化することで68nMまで最小検出感度(LOD)が向上した.数値的には80倍向上したことがわかる. 以上の結果の,当初目的としたフィルタレススペクトルイメージセンサを試作し,その検出能力を増加(約80倍)させることに成功した.さらにこのデバイスを利用してバイオ分野で用いられている様々な蛍光色素をフィルタレスで高感度に検出できることを実証した.
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