研究課題/領域番号 |
18360171
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 弘藏 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80026369)
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研究分担者 |
篠原 真毅 京都大学, 生存圏研究所, 助教授 (10283657)
三谷 友彦 京都大学, 生存圏研究所, 助手 (60362422)
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キーワード | 新エネルギー / 太陽光発電 / 宇宙太陽発電所 / 到来方向予測 / ビーム制御 |
研究概要 |
1.宇宙太陽発電所(SPS)では、高精度で受電点の方向にマイクロ波で送電する必要がある。受電点からパイロット信号を送り、到来方向の推定と送電ビーム形成のための各送電アンテナに与える位相を計算機上で行う、ソフトウェアレトロディレクティブ方式に着目し、ビーム方向精度を測定した。パイロット信号にはスペクトル拡散変調をかけ、0.5波長間隔の4つの4.8GHzアンテナを用いて受信、さらに逆拡散し到来方向を計算し、5.8GHzの12×12の素子を持つ送電アレイアンテナに、到来推定方向に1次元でメインビームが向く位相を与えた。この場合、方向の誤差が±2度以内であった。そのため受電側中心から等距離離した2つのアンテナで等電力にするように、ビーム形成位相を変化させる方法を新たに開発し、誤差は0.25度以内の測定範囲以下となった。 2.さらにアレーアンテナの歪みや通過位相誤差を較正する、REV法(素子電界ベクトル回転法)と新開発の逐次補正を行うBeam-tagging法の2つについて、受電点が移動している場合を含めてシミュレーション、実測実験にて比較を行った。Beam-tagging法の方が受電点の電力を高く維持できることがわかり、上記システムにBeam-tagging法を追加した総合実験を行った。送電アレイアンテナに位相誤差を与え、システム動作前後のビームパターンを測定した。実測実験の結果、方向誤差は0.25度以内の高精度化ができ、さらにアンテナ間位相の較正により、受電電力値も大きく維持できることを実証した。 3.SPS用アレイアンテナにおける送電ビームの形成に関して、電力分布を台形にする新しい方式を提案した。この方式は、従来のアレイ全体に電力分布を与える方法に比して、中心の大半の部分を一定電力にできるため、電力を変化させる部分が少なくなり、システムを簡略化でき、かつ、最大以外のサイドローブレベルが低く、ビーム収集効率も高いことを示した。従来は放熱が困難であった中心部の電力も低くなる等の優位性がある。また12素子のアレイで実験的にも実証している。
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