研究概要 |
平成20年度においては次のような研究成果を得た. 1. インターネットを介した放送型コンテンツ配信における再生待ち時間を取り上げ,1)同報型,2)選択的視聴型の2つの場合に関して待ち時間短縮手法を提案し,その性能評価を行った. 2. P2P型情報流通ネットワークにおいて,高い検索効果を実現する論理的接続トポロジーの構成法を提案した. 3. 多人数参加型オンライン・アプリケーション・サービスにおけるP2P型分散処理において必須であるデータとプログラム・コードの秘匿化手法を開発した. 4. 無線ネットワーク環境下での階層的符号化されたビデオ・コンテンツ送信における送信誤り回復のための能動的再送方式とパケット・スケジューリング・アルゴリズムの提案を行った. 5. オーバレイ・ネットワークにおいては論理層と物理層でのルーティングにおけるトポロジー不整合が起こり,エンド・エンド間の性能に影響を及ぼす.これを評価する数理モデルを開発し,不整合の度合いが少ないほど送信遅延が短く,論理層でのトラヒック集中は物理層のトポロジーに関わらず送信遅延の増大を招くことを示した. 6. スケーラブルなコンテンツ配信サービスを提供するには高速ネットワーク・インフラが不可欠であるが,そのための基盤技術として光バースト交換方式がある.この数理モデルと性能解析手法を開発した. 7. P2P型インターネット電話においては中継を司るスーパノード群と一般ノード群が分散型ネットワークを構成するが,この数理モデルの開発と性能解析を行い,群構成比率が性能に与える影響および集中型ネットワークに対するスケーラビリティでの優位性を解析的に示す. 8. コンテンツ配信をマルチホップ無線ネットワークで行うにはネットワークのトポロジーに依存したホップ数に起因するQoS不平等性が大きな問題である.この影響度合いを理論的に解明するために数理モデルを開発し,解析を行った.
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