本研究課題の目的は、時々刻々変化する光パルスのアドホックな“歪み"を補償する技術の開発である。研究機関全体を通して、1)2次元的な並列処理による光パルスの処理・制御を特徴とする“歪み"を一意的に表現可能な時間-周波数領域で扱う方法、および2)相関処理による信号識別=歪み補償であることに着目した方法の2つのアプローチで検討を進める計画で進めてきた。このうち本年度は、最終年度にあたり、以下の3つの項目を検討した。個々に具体的な実施内容を簡潔に説明する。 ア)実際のデバイス内での非線形効果や分散効果により引き起こされる歪みの検証 歪みを発生する具体的な光デバイスとして、設備内で多用される既存の光符号器などが与える影響を検証した。検証した内容に基づき、実際に起こりうる歪みの状況の影響の許容量などを見積もり、歪み補償の検討にリンクさせる準備検討をさらに進めた。 イ)2次元的な並列処理による歪み補償の方法の制御性の検討 2次元的な並列処理による光パルスの歪み補償の方法の検討を進め、補償レンジの動的な変更などを念頭に置いた制御デバイスの導入の検討を行い、その効果を確認した。 ウ)相関処理による方法で用いるフィルタの設計とその効果の確認 2)の相関処理による方法で用いる相関フィルタについて設計を行い、通信帯のパルスに対する保証の効果を確認した。
|