研究課題
前年度の残された課題となった、1.回路全体の消費電流の削減、2.複数の生体情報の同時実時間返信機能の実現、3.心電R波信号を検出する回路への判定レベル自動調節機能の付与、4.心電信号増幅用アンプへの自動利得調整機能の付与、5.受動ICタグのための小型小電力CMOS電源回路の実現、6.試作した1mm角平面スパイラルコイルの特性解析、に関して以下の研究成果を得た。1. に関し、呼吸センサとしてベルト型静電容量センサ(最大容量342pF)を試作し、課題であった消費電力を2.54mW@3Vと前年度試作回路の歪ゲージセンサに比べて約1/10に低減できた。2.に関し、心電R波信号、呼吸信号、体温信号を同時サンプリングし、それを一体として2値信号のパルス長に変換して、3つの生体信号を同時実時間で無線により読み取り器へ返信できるディジタルIC回路(回路面積=0.74mm^2,消費電力=0.1mW)を開発し、動作を実験で確認した。これにより、生体情報計測においてより高い実時間性が得られるようになった。3.に関し、R波検出回路のR波検出しきいレベルを自動調整する新しい回路を設計し、個別ICによるブレッドボード回路を試作して所望の動作を実験で確認した。これにより、センサ装着者の個人差や体動による心電R波信号の波高変動に対し、自動適応したR波計測が可能になった。4.に関し、オンチップ可能な消葺電力0.13mWのスチッチトキャパシタ帯域通過フィルタ(通過帯域:0.5Hz~200Hz)と自動利得調整機能付き増幅器(消費電力は0.809mW)を設計し、SPICEによる過渡回路解析と個別ICによるブレッドボード回路での実験により所望の動作を実現できる見通しを得た。5.および6.に関し、MOSプロセスによるIC化をめざした10mWの受動ICタグ用小型小電力AC-DC変換電源回路の設計と解析を行った。特に、1mm角平面スパイラル受電コイルとAC-DC変換回路を組み合わせて回路解析し、10mW@3V程度の電源の実現には、同受電コイルを232ガウス以上の交流磁束密度で励磁する必要があることを明らかにできた。
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http://www.anacas.eecs.kumamoto-u.ac.jp