研究概要 |
どこでも,いつでも,どのような情報でも通信できるユビキタス環境を実現するには,ユビキタス機器が周囲の機器から放射される電波に干渉されずに,正常に動作する必要がある。2.4GHz帯の無線LANのように,スペクトル拡散を利用したIEEE 802.11bとOFDM(直交周波数分割多重)を利用したIEEE802.11gが同じ周波数帯域を使用しており,さらに,3GHz〜10GHzの周波数帯を利用するUWB(超広帯域)通信では,5GHz帯の無線LANIEEE802.11aとの電波干渉が重要な問題になっている。 平成19年度では,電界印加法としてGTEM(Gigahertz TEM)セルを使用して,UWB通信を5GHz帯の無線LANIEEE802.11aの電波干渉特性を測定する方法を開発した。無線LANの伝送限界に近い微弱な受信状態においてUWB通信が及ぼす影響を定量的に測定することができた。また,MATLAB/SIMULINKによる信号伝送特性シミュレータで,それらの電波干渉特性とシミュレーションする方法を検討して,測定値とシミュレーション値がほぼ一致することを確認した。 1GHz以上の周波数領域における電波無響室の特性評価に適用可能な放射アンテナとして,光ファイバを用いた光給電法による広帯域アンテナを開発しているが,涙形の形状にアンテナエレメントを構成することにより,放射指向特性の規格値を満足させることを実験的理論的に確認した。 多周波数に対応可能な電磁波吸収壁に関して,従来のフェライト等を用いた重厚なものに対して,軽量・薄型の電磁波吸収壁のメリットに着目し,さらに内部に金属板を挿入する簡単な構造で薄型化を図った電波吸収壁を開発した。
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