研究概要 |
差別化サービス環境においては,トラヒック分析の結果に基づいて各クラスの制御を行い,所定の品質が得られるようにする.トラヒックデータを得る方法としては,必要な箇所に的を絞って測定するアクティブ測定が不可欠である.しかし,アクティブ測定は元来測定値のバラツキが大きく,トラヒック理論構築においてもそれを考慮する必要がある.このバラツキを小さくできれば,計算もより正確になり,また差別化サービス環境における制御をより適切に行うことができる.アクティブ測定のバラツキを小さくして精度を上げる方法として,通信プロトコルの非ソフトウェア処理を検討し,それによる理論計算精度向上を図った.また,トラヒックの検討では,例え理論検討であっても,その精度の確認などのためにシミュレーションが必要になる.そこで,実際のトラヒックデータをいくつかの種類のトラヒックの混合と仮定して分析し,それに基づいて実際のトラヒックに近いシミュレーショントラヒックを発生させる手法を提案した. トラヒックと料金が関係する例として,VOD(Video On Demand)形IP放送サービスを取り上げ,その品質を経済学的な面から検討した.料金が低ければ利用は増加し,料金が高ければ利用は減少する.また,品質である呼損が小さければ利用は増加し,呼損が大きければ利用は減少する.呼損は,サーバ規模の大小で決まり,それはコストの大小になる.事業者収益は,利用料金収入からコストを引いたものになる.昨年度は,定額制料金に関して,料金,ユーザ効用,事業者収益の関係をシミュレーションにより調べた.本年度は従量制料金に関して検討を行った.従量制料金の場合は,理論式により事業者収益の最大点を求めることができる. 以上の検討のほか,マルチキャストコンテンツ配信,ネットワークの輻輳に応じた適応的料金設定などについても検討を行った.
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