研究概要 |
本研究の目的は,視覚機能を運動制御に積極的に利用してロボットの運動機能を高めることにある。すなわち、ロボットの視覚を用いた動作計画,動作制御,バランス制御といった種々の運動制御系のための有効情報を獲得する運動視センシング機構を開発する.特に,2足歩行ロボットが高速で安定に歩くための視覚センサーの役割を解明・実装することで,新しいセンシング機構を構築する. 18年度期間中には,次の3つのシステムを設計し,構築に取り掛かった. (1)能動カメラによる追跡に基づく高速移動体の実時間追跡・形状認識システム (2)自己の運動,対象の運動により移動する対象を安定して注視し続ける,注視制御システム (3)注視機構からの運動情報を有効に利用した運動制御システム 第一のシステムは,たとえば,移動ロボットの前方を横切る物体,監視カメラの前方を横切る車両などの立体形状を実時間で認識し,追跡するシステムである.このとき,シーン中を移動する物体に視点を固定して追跡するようにカメラのパン,チルトを制御することで,立体形状が容易に計測しうる数理的な仕掛けが,すでに研究代表者らによって示されている.この原理をシステム化し実用性を確認する. 第二のシステムでは,人間の両眼を模した2台のカメラが注視点をそろえて協調して対象の動きをとらえ,安定して注視し続けると共に,対象形状を計測する. 第三のシステムでは,上記の注視機構で得た成果を,現有のヒューマノイドロボットに実装し,運動視システムとしてロボットの安定で高速な運動を実現し,実システムとして提示する.対象の形状や自己および対象の運動に応じたカメラの効率的な注視制御方法があるか,それは,どのような要因で決定されるのかなどを理論化することも,研究の目的である. そのために,今年度は,2台の小型高速ロボットアームを導入し,それぞれにパン,チルトを制御できるカメラを取り付け,多様な状況を設定し,多数の画像を取得して,2台の能動カメラによる協調した運動視のセンシング機構の開発と解析を行った.
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