研究課題/領域番号 |
18360202
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇野 洋二 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10203572)
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研究分担者 |
香川 高弘 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30445457)
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キーワード | リハビリテーション / 知能ロボティクス / 下肢麻痺者 / 歩行再建 / 予測的制御 / 装具歩行 / 歩行補助ロボット |
研究概要 |
対麻痺者の歩行補助における転倒防止について検討した。まず、対麻痺者が後方に転倒することなく効率的に歩行するための必要条件について、線形化された倒立振子モデルを用いて力学的な解析を行なった。その結果、歩行中の単脚支持期において重心位置が足関節の後方から前方に弾道的に運動するためには、離脚時の重心の速度が重心位置と固有振動数の積より大きくなければならないという条件式が導かれた。身体の詳細な筋骨格モデル、および健常者と対麻痺者の歩行計測実験から転倒条件の検証を行ない、多自由度で複雑な筋骨格系に対しても、この転倒回避条件が妥当であることを確認した。さらに、重心運動の解析から、対麻痺者の安定かつ効率的な歩行補助のためには、歩行中の両脚支持期において弾道歩行の条件を満たされるように重心速度を上げ、単脚支持期において弾道的な歩行パターンに従うように制御することが有効であることがわかった。次に、起立動作中の床反力と身体の姿勢を同時に計測し、重心の位置と加速度から体節の質量と質量中心に関するパラメータを推定する方法を考案した。この方法で推定したパラメータ値と体節の角度から、幾何学的に重心位置を求めることができる。数名の被験者に対して起立動作と静止姿勢、ステップ動作の計測実験を行ない、推定した重心位置と圧力中心位置との誤差からその推定精度を検証した。その結果、重心位置の推定精度はほとんどの姿勢で10 mm以下となり、また、このようにして計算された重心の加速度は、床反力から得られた重心の加速度をほぼ再現できることがわかった。 尚、歩行器を用いた起立動作において、被験者に床反力中心を提示する訓練を行なったところ、荷重センサに基づく安定性の指標を与えることによって、身体負荷(関節トルク)が軽減した。
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