研究概要 |
本研究の目的は,現代的サンプル値制御理論による新しいディジタル信号処理の理論とそれによる新しいディジタルシステム理論を確立すること,さらにその画像,音声における実時間処理での実用性を高めることにある.本年度はCD等におけるDAコンバータの性能向上とともに,圧縮オーディオの最適復元の実用化に努めた.これについては特許を取得し,それに基づいて音声処理用LSIとして実製品も出荷されている.累計総出荷台数は現在700万石を超えている.また同様の手法の応用として,従来とは全く異なる原理による補聴器の原理を提案し,現在試作段階を経て特許申請を行っている. 本年度はさらに動画において,このようなアナログ特性を最適化するフィルタの研究を進め,リアルタイム処理が可能であることを確認するにいたった.これは画面バッファの読み込みと処理を平行して行うもので,実際にリアルタイム処理が可能であることを確かめた.現在この手法は京都大学より特許申請中である. また,ウェーブレット解析に対する応用については,Daubechisのウェーブレットについて本手法を適用した展開が可能であることをしめした.さらにこれらの成果の発展として,本手法によるフィルタの適応化に一定の見通しが立ち,それによって特性の変化に追随する処理が可能となりつつある.この適応的フィルタ更新則は微分方程式の数値解法への応用も見込まれ,今後の発展が期待される.
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