研究概要 |
1. HPFRCCの引張性能に及ぼす供試体表面の影響:ブロック状あるいは板状のHPFRCC母供試体から切り出した棒状の試験片を用いてダンベル型供試体を作製し,一軸引張試験を行う方法を提案した。繊維が配向しやすい型枠面や仕上げ面が多いほど,終局引張ひずみが大きいことを明らかにした。母供試体内部の位置における引張性能の差を評価方法として,提案した手法は有効であった。 2. 微細ひび割れが生じたHPFRCCの耐凍害性能:HPFRCCダンベル型供試を用いて引張試験を行い引張ひずみ(0.2〜1.0%)を導入した後に凍結融解試験を行い,再び引張試験を行った。凍結融解試験後の引張試験では,導入ひずみレベルの増加にともない終局ひずみが若干減少したが,ひび割れの有無に関わらず,凍結融解作用による大幅な引張性能の低下は認められなかった。 3. HPFRCCの曲げクリープ性状:ひび割れ発生前とひび割れ発生後のひずみレベルにおいて,HPFRCC梁の長期曲げ載荷試験を実施した。ひび割れ発生前のレベルにおける引張クリープ係数は約1.2であった。ひび割れ発生後のレベルでは,クリープひずみは収束せず,クリープ係数は載荷ひずみレベルに関わらずほぼ同程度であった。曲げひび割れ発生以降の引張クリープひずみは,ひび割れ本数およびひび割れ幅の増加の両方を伴って進行することを確認した。 4. HPFRCCのひび割れ性状に及ぼす補強鉄筋の影響:鉄筋補強したHPFRCC梁の曲げ試験を行い,ひび割れ性状に及ぼす鉄筋量やかぶりの影響について検討した。HPFRCCのひび割れ幅や本数に及ぼす鉄筋量ならびにかぶりの影響は小さいことを明らかにした。鉄筋を配置すると,ひび割れがより均等に分散することを確認した。
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