研究概要 |
風力発電設備における耐風,耐震設計は,これまでに建築基準法や塔状鋼構造設計指針が用いられてきた。しかし,これらの設計指針は建物や煙突のような静止している構造物のために設定したものであり,回転効果を考慮する必要のある風車に適用した場合には,精度の面で大きな問題がある。 本研究では,ロータの回転を考慮できる運動方程式,フィードバック機構を記述する制御方程式を採用し,これらの方程式を同時に解くことにより,風車稼働時の風応答評価や地震荷重との相互作用の評価を可能にし,非線形空力,非線形制御機構,台風時の乱れ,地震波を当時に取り扱うことにより,風車の風,地震応答を高精度で評価することを可能にした。 具体的には,風車の地震応答予測モデルを開発し,風,地震による連成振動の評価を行った。風車の地震応答を求めるため,まず前年度に開発された風応答予測モデルを発展させ,地盤特性を考慮できるような地盤と風車タワーの連成モデルを作成した。また,風車は通常地震が発生する時に静止状態というより発電しているケースが多く,風車の振動は減衰によって大きく左右されるため,地震荷重と発電時の風荷重を同時に考慮した連成解析を行い,地震時の風車の振動特性を明らかにした。そして,それぞれの地震のレベルに対して,様々な地震波形を用い,風車の地震応答特性を明らかにするとともに,従来の建物や煙突の耐震設計指針と比較し,発電中の風車における地震発生時の荷重評価手法を提案した。
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