| 研究概要 |
コンクリートや地盤・岩盤の材料定数を定める際にはしばしばコア抜きやボーリングなどによってコア供試体を抜き取る破壊試験が行なわれる.このような試験のあとに残ったボアホールの側面は材料内部に形成された新たな材料表面であるとみなすことができ,ボアホールにおける音波計測を行えば材料内部のより詳細な評価が可能になると考える.本研究では,石油資源探査の分野でよく発達している音波検層技術を,建設材料に空けられた小径ボアホールにおける音波計測に応用して,高い精度で材料内部の評価を行おうとするものである.
まず,ボアホール内の波動解析のためのプログラム開発を行った.境界要素法並びに高速多重極境界要素法による3次元異方弾性体波動解析プログラムを開発し,既存の音波に対する解析プログラムと連成させた.その際,送受信に用いる計測装置の影響を無視することはできないので,送受信装置を適切にモデル化し,解析に取り入れた.具体的には,monopoleとdipoleという2つのモードを考え,両モードによる送信音波と受信プロセスの数理モデルを構築した.作成した解析プログラムを用いて,異方性弾性定数や周波数などを変化させ,様々な数値シミュレーションを行った.ボアホール内では,ガイド波が発生し,その分散性を検討することによって,周囲の材料定数の推定を行う.ボアホール中のガイド波は2次元波動を重ね合わせた2.5次元解として得られるので,2.5次元解析による固有値解析を行いガイド波の分散特性を明らかにした.そして,最後に,モルタルを用いてボアホールを模擬した試験体を作成し,圧電送信子と受信マイクロフォンを用いて基礎的な音波実験を行い,ボアホール内の水中音波の特性を検討した.
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