研究概要 |
1.アルミニウム合金制震ダンパーの開発研究 A5083P-Oアルミニウム合金を取り上げ,繰り返し弾塑性構成則の開発,およびBRBの性能実験を実施した.得られた主要な知見は次ぎのようである.1)繰り返し引張-圧縮試験より,鋼材の弾塑性挙動との相違点を明らかにし,アルミニウム合金用構成則を開発した.2)鋼製BRBで用いた全体座屈防止条件式(安全係数〓3.0)はアルミニウムBRBにも適用できる.3)全体座屈が生じないBRBは目標性能に達する前に端部リブ溶接止端部の低サイクル疲労により破断した.これは,アルミニウム合金はひずみ硬化が大きく,繰り返し載荷により素材の引張強度近くに達してしまうことによる.BRBの地震時応答ひずみが2%以内で,レベル2地震1回程度に対して耐えうる性能は十分保持しているので,配置場所を限定することにより実構造物に使用可能である. 2.制震ダンパーを付与したトラス構造の耐震実験 ガセットを介して高力ボルトで接合された5体の鋼トラス構造模型に,繰り返し水平荷重が作用する状態で実験を行い,どのような部材・部位の順に破壊が進行していくかを調べた.パラメータとしては,斜材断面(3種類で,1体は座屈拘束ブレース),鉛直荷重の大きさ,および載荷パターンである.次に,実験トラス構造を適切にモデル化し,初期横荷重を与えて繰り返し弾塑性有限変位解析を実施して実験結果を再現出来るかを調べたところ,妥当な結果が得られている.
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