研究概要 |
本研究では,粒子法(MPS法)を用いてタンクと内溶液をモデル化し,流体と構造物(浮屋根・タンク側壁)の連成解析を行い,浮屋根の有無・構造条件の相違が流体-構造物の連成効果,スロッシングに及ぼす影響を調べた.タンクのモデル化に当たっては,浮屋根の効果を考慮するとともに,その構造条件(剛体・弾性体,強度)や液深をパラメトリックに変化させた.浮屋根部については,解析の都合上,ポンツーンなどのミクロなモデル化をしなかった. 浮屋根がないと,自由表面の液面状態になる.そのため,地震入力波に対してスロッシングが成長することにより,液深とタンク内径の比や空間余裕高さが違うと,内溶液がタンクから溢流するケースがあった.MPS法による粒子法の解析を導入した結果,スロッシングに伴う砕波や飛沫現象を的確に再現できることがわかった.浮屋根があると,スロッシングは大きく抑えられた.浮屋根の有無により,スロッシングモードに変化が生じ,スロッシングには非線形挙動を呈することも多かった.浮屋根が剛体であると,変形が許されないため,スロッシングは線形的挙動を呈す.浮屋根が弾性体になると,自由表面の状態に近い挙動を示すことになり,浮屋根のない状態におけるスロッシングの非線形性が見られ,スロッシングの成長に伴い,2次モード以上の高次モードが生起する特徴のある応答が発現した. 本解析により,MPS法がタンクのスロッシングに伴う浮屋根挙動の解明に適用できることがわかった.浮屋根の構造条件はスロッシングの波高,周期,モードに大きな影響を及ぼす.本手法の提案により,流体-構造物(浮屋根とタンク側壁)の動的相互作用に伴い,流体-構造体連成解析によるスロッシングモードの変化などを基本的に分析できたことは本研究の特色である.
|