研究概要 |
本研究では,遠心力での地盤・構造物系の動的模型実験における拡張型相似則を新たに提案し,その適用性を明らかにすることを目的とする。拡張型相似則とは,仮想1g場模型の概念を導入して,1g場と遠心力場の相似則を複合し,2段階スケーリングに基づいて模型諸元を決定するものである。これにより,これまでの遠心力場での縮尺の限界を大幅に拡大することが可能となる。本研究期間内に,この拡張相似則の適用性を,杭・地盤系および水平成層地盤について検討した。 杭・地盤系模型では,遠心力加速度5g〜50gのレンジにおいて,縮尺(原型/模型)=100に対して,modeling of modelsの方法で,適用性を検討した結果,杭頭加速度,変位,曲げモーメント分布について,遠心力加速度が概ね20g以下のレンジにおいては,拡張相似則の適用性が確認できた。しかし,それより遠心力加速度が大きい範囲では,そもそも地盤の地表面加速度が異常に小さいなど,不明な点が残された。 この結果を受け,乾燥砂の水平成層地盤の地震応答に研究対象を絞り込んで,拡張相似則の適用性に関する検討を行った。この研究では,遠心力加速度レンジを1g〜70gの範囲に広げ,縮尺(原型/模型)=100に対して,Modeling of modelsの方法で,せん断波の伝播速度,および,正弦波に対する地盤応答,の両者について,検討した。この結果,加遠度振幅,せん断波速度ともに,拡張型相似則を適用して実物スケールに換算した値は比較的良い一致を示し,同相似則の適用性を確認することができた。
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