研究分担者 |
河井 克之 神戸大学, 工学研究科, 助教 (30304132)
道奥 康治 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40127303)
村上 章 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80157742)
PIPATPONGSA Thirapong 東京工業大学, 学術国際情報センター, 准教授 (10401522)
高原 利幸 金沢大学, 自然科学研究科, 助教 (20324098)
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研究概要 |
本研究は,塩害に伴う地盤変状をシミュレートする飽和/不飽和土・水・移流拡散連成有限要素解析手法の開発とそれを用いた塩害軽減・修復技術の開発を目的としている.多くの「塩害→植生枯死→砂漠化」の地盤環境変状・地盤環境崩壊プロセスは,「森林の伐採」などによって,降雨などの供給水量と植生からの蒸散水量と地表からの蒸発水量のバランスが崩れ,塩害をもたらすと説明されてきた.平成18年度に,タイ東北部の塩害地域を調査し,問題点の抽出を行った.その結果,開発すべき塩害シミュレータには,(1)飽和・不飽和状態にある土の透水・力学特性,(2)植生を介しての蒸散などの水循環,(3)降雨による水供給と地表面蒸発などの水循環,(4)地中水に含有している塩分などの移流拡散,(5)地盤の変形・応力・浸透を考慮した数理モデルが必要であることわかった.これらを考慮した塩害シミュレータを開発し,タイ国カセサート大学の協力の下,本年度は,塩害シミュレータのキャリブレーションを行った.タイ東北部のサコナコン,ウドンタニにて現地計測された地表塩分濃度データをもとに,季節間の地表面塩分濃度変化のシミュレーションを行った.次いで,地球環境問題における塩害・砂漠化の位置付けを,数理階層化手法により検討した.塩害・砂漠化問題の解決は生態系の枯渇・絶滅という最悪シナリオのすぐ上位の階層に位置する問題であって,解決の重要度が極めて高い問題であることが判明した.このような階層化手法によって,グローバルに地球環境問題解決に貢献できる塩害シミュレータとして具備すべき要因が明らかとなった.それらは,地・気圏間の水収支、水収支における植生影響、土壌内部での水移動、地盤内溶解物質の移動である.このような成果をもとに,次年度(最終年度)には,塩害・砂漠化の低減技術の検討と開発を行う.
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