研究分担者 |
磯部 雅彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20114374)
田島 芳満 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20420242)
黄 光偉 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30292882)
鯉渕 幸生 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 講師 (60349800)
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研究概要 |
本研究では,人間生活の直接の基盤である地形と水質環境に焦点を当て,環境変化に最も脆弱であると考えられる河口周辺の汽水域,沿岸域に注目して流域スケールの実証的な調査分析をすることにより,環境の保全と再生に資することを目的としている。平成19年度は,上げ潮と下げ潮で非対称な流れが卓越するなど特徴的な波,流れ場と漂砂現象が観察された浜名湖今切口において,平面的な流動構造と数十年にわたる土砂堆積実態を解明するための調査を実施した。具体的には,前年度に備品として購入したADCPと濁度計を活用し,満干潮の一周期間の流速場を平面的に計測するとともに,砂の巻き上げと乱れの発達に関する時空間データを取得した。さらに,周辺の海岸において表層堆積物試料を採取し,これを既有の粒度分析器等を用いて分析することにより,湖口周辺の汽水域利用が急速に進んだ現代における土砂環境の変遷を定量的に記述した。 さらに今切口での観測に加えて,同じく遠州灘海岸に面した河口部で,周辺の海岸侵食と河口部導流堤の慢性的な被災が問題となっている馬込川においても,流速と濁度の連続計測を中心とした観測を実施した。馬込川河口域においては,下水処理水の集中大量放流により,人工的な流出水が卓越しており,特徴的な地形により非対称な流れが卓越する今切口と比較分析することにより,広い範囲の外力条件に対する汽水域の応答に対してより一般的な議論を展開できた。そして,特に物理環境の定量的把握に基づく分析により,人為影響の強い汽水域の環境維持手法を具体的に検討した。
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