研究課題
都市キャノピー内外の詳細な3次元流れ場の情報を得るため、超音波風速計による多点計測に代わる高時空間解像度の流れ計測法としてPIV法(Particle Image Velocimetry)を屋外に適用できるシステムを実現した。屋外PIVシステムの構築にあたって、太陽光によるS/N比の問題およびレーザーの操作性の問題を克服するために、(a)安価な高出力レーザシートの採用、(b)ノズル部の特殊加工による安定したトレーサーの供給、(c)長時間・高解像度の高速画像処理のための特殊RAID装置、の3つの工夫により、屋外における高時空間分解能の準3次元流れ計測を実現した。小型軽量な完全空冷式の1W高出力型LD励起YAGレーザーと、高解像度カメラ、膨大な画像データを高速保存可能な特殊RAID装置などから構成される気流可視化装置(加藤光研)を開発し、乱流計測に必要な1時間以上の連続計測システムを構築した。シーディング発生装置としては直径10ミクロンの微粒子を用いた既成のドライスモークを利用し、小孔群を有する円管に直結して、風上側からラインソースとして与えた。その際、流量コントロールにより風向・風速変動に対しても最適なシーディング供給が行えるようにした。また得られた画像情報からPIV解析ソフト(新規購入)を用いて、2次元風速や乱流統計量の同定を行えるようにした。この屋外PIVシステムを用いて屋外スケールモデル(埼玉県)において実験を行った。また風速・乱流統計量の検証データを得るため超音波風速計による計測を同時に行った。その結果、1)屋外における1時間以上の長期連続PIV計測を行い、流れの可視化に成功した。2)PIVと超音波風速計の得結果はよく合致し、本研究で構築した屋外PIVシステムの精度が信頼できる。3)PIV法による乱流統計量(1時間統計値)の空間分布の把握に成功し、都市キャノピー内における循環流、それに対応したキャノピー内外での乱流フラックス量・乱流強度・レイノルズ応力などの空間分布計測に成功した。
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土木学会水工学論文集 51
日本気象学会2006年度春季大会講演予稿集
Proc. of 6th International Conference on Urban Climate, 12-16 June 2006, Goteborg, Sweden
ページ: 270-273