都市キャノピー内外の詳細な3次元流れ場の情報を得るため、超音波風速計による多点計測に代わる高時空間解像度の流れ計測法としてPIV法(Particle Image Velocimetry)を屋外に適用できるシステムを昨年度までに実現してきた。本年度は、ハード・ソフトの両面から改良を加え、データ取得率を大幅に向上させた。ハード面では、シーディング装置を2次元化すると同時に、キャノピー内部の表面からもスモークが供給されるようにしたこと、ソフト面では、ベクトル解析のしきい値などをチューニングすることによりピークロッキングを回避した。これにより、超音波風速計との詳細な比較により、その精度向上が検証された。また、屋内実験でレーザー流速計を用いて得られている乱流統計量の各種空間分布と比較を行い、屋内乱流との類似点・相違点を明らかにした。特に、屋外環境では、屋内では見られない大規模な組織的乱流構造の存在により、キャノピー内と上空の間で大規模かつ間欠的な空気交換が発生することが発見された。 さらに、本PIV装置を小型の屋外都市模型の上空に適用し、2次元平面における大規模な乱流構造を捉えることを目的とした実験を行った。比較対象のため、熱電対のマルチポイント計測(50点)にお温度変動データと比較することにより、大規模構造の時空間的な解析や、テーラ凍結仮説の妥当性について検討を行った。
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