研究概要 |
台風直下に形成される強風下海面境界層-バースト層-の乱流構造を支配する砕波応力の逆解析的定式化(バースト層モデルの導出)に初めて成功した. ついで,このバースト層モデルの取り組みが可能な多重σ座標系海洋モデルを台風・気象・波浪・陸面結合モデルに組み込んだ大気・海洋・陸面結合モデルを開発した.このモデルを用いて,台風0416 号による瀬戸内海全域の高潮再現計算を行い,その有用性を実証した.さらに,このモデルに入力する初期気象場の高精度化をはかるため,ナッシングによる4 次元データ同化と台風ボーガスを併用する初期化手法を開発した. 以上の手法を用いて伊勢湾における高潮シミュレーションを行い,現在気候の下での伊勢湾における可能最大高潮の潮位が伊勢湾台風による3.6mを0.9m 上回る4.5m に達することを示した.さらに,CMIP3 のSRESA1B シナリオの下での2099 年9 月の気象場においては,伊勢湾における可能最大高潮が潮位偏差で6.5m に達すること示した.
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