研究概要 |
初年度においては酸素マイクロバブル曝気装置を設置した兵庫県化の貯水池において深層曝気の実証実験を実施し,消費冠力を最小化しながら溶存酸素を所定レベルに維持するための水質浄化システム運用方法を検討した.具体的には必要最小限の酸素濃度を維持する程度にシステムを間欠的に運転し,電力と機械システム償却を抑制することを目的として深水層における溶存酸素濃度DOが10mg/L以上となった場合にシステムを停止し,5mg/Lまで低下した場合に運転を再開する間欠運転を実施した.その結果,季節毎に必要なシステム出力と休止時間などが明らかになるとともに,水温成屑の強度に応じて深水層に供給された酸素の滞留効率が異なり,成層状況に応じてシステムの稼働・休止を判断する必要があることが明らかになった.水質浄化など水圏への環境負荷のみならず,消費エネルギーの省力化を実現することにより気圏への環境負荷を軽減する上での実証的知見を得た. 一方,広島県の貯水池を対象として水質浄化に要する費用と気圏への環境負荷(CO_2排出量)を算定し,水質浄化にともなう総合的環境負荷の評価方法を検討した.水質浄化については,散気管による池内の曝気循環と流入水の直接浄化の両方を想定し,水質浄化に要する運転費用とCO_2排出量を算定した.なお,池内の水質改善量に関しては,曝気循環サブモデルを組み込んだ一次元水質生態系予測モデルより推卸した.以上の検討より,流入水対策は池内対策に比べて膨大なコストと環境負荷をもたらすことが明らかになり,総合的環境負荷を最小化するための水質管理方法を構築する上で重要な知見を得た. 以上,初年度における研究成果をもとにして,次年度以降,本プロジェクトの研究目的を達成するための準備を研究組織内で行っている.
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