研究概要 |
本研究は,廃棄物系バイオマスからバイオエネルギー(水素・メタン)の回収を行うためのプロセスの開発を目的とし,高温(55℃)酸発酵槽と中温(36℃)メタン発酵槽からなる二相循環式水素・メタン発酵プロセスを提案している。平成19年度では、食品加工廃棄物(ジャガイモ)を処理対象とした連続実験系における微生物群集構造解析をした。その結果、高温酸発酵槽および中温メタン発酵槽内の微生物構造を明らかになった。 また、8つの異なる植種源を用いた回分実験により様々な基質の水素生成ポテンシャルを検討した。植種源は、高温酸発酵槽、中温消化槽、高温消化槽、大豆粕、生ごみ、活性汚泥、乳牛糞および土壌から得られた。基質には、でんぷん、ペプトンおよび食用油をそれぞれ炭水化物、たんぱく質および脂質の代表として用いた。でんぷんの水素生成ポテンシャルは17.8-186ml H_2/g starchと大きかったのに対して、ペプトンおよび食用油の水素生成ポテンシャルはわずかであった。でんぷんを基質とした実験系に対してPCR-DGGE法により細菌群の解析を行った結果、Clostridium属細菌やCitrobacter属細菌などの水素生成細菌が様々な廃棄物系バイオマスに広く分布していることが明らかになった。
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