研究分担者 |
金子 慎治 広島大学, 大学院国際協力研究科, 助教授 (00346529)
市橋 勝 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10223108)
馬奈木 俊介 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (70372456)
李 志東 長岡技術科学大学, 経営情報系, 助教授 (80272871)
白川 博章 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助手 (50393038)
|
研究概要 |
中国では,急速な経済成長にともない膨大な資源需要が発生し,そのことが環境問題や今後の地域経済の発展に与える影響について様々な議論が行われている.本研究の目的は,中国を対象とし,都市化,産業集積,資源の賦存と生産・消費,物流などの空間的構造に着目し,これが地域ごとの経済成長と環境問題にどのような影響を及ぼしているか,また,地域間の連関が国全体の発展にどのように作用しているかを明らかにすることである. 平成18年度は,これまで先行研究で検討されてきた分析概念や方法に関する多面的な考察を行い,幾つかの分析方法を検討するとともに、データベースの整備を行った. まず,理論的な課題としては,中国の都市化を説明するために,「核・集積モデル」,「都市階層モデル」,「ルイス・トダロモデル」を対象に中国での適応可能性を検証した.まず,「ルイス・トダロモデル」については,省間の人口移動を統計的に分析したところ,農村の余剰労働力,所得格差,都市の失業率などが影響しているという結果を得た.また,「核・集積モデル」や「都市階層モデル」については,集積が進む地域では,製鉄業,繊維産業などが,都市郊外や内陸部などに移転する事例があることが分かった.これら3つのモデルは,都市化を説明する代表的なモデルであるが,中国においても適用可能性が高いことが分かった. また,経済成長の効率性と資源・エネルギーの消費量の関係についても検討した.その結果,TFP成長率が高い地域ほどGDP当りのエネルギー消費量が少ないということが明らかとなった.TFP成長率が高いことは,技術革新が進んでいることを示唆している.また,TFP成長率は沿岸部が内陸部に比べて高い値を示した.このことは,内陸部は沿岸部に比べて,資源の利用効率が低い可能性があることを示唆していると考えられる.
|