研究概要 |
初年度は,まず,接合金物を用いた木質戸建軸組住宅の力学的挙動を把握し,その性能評価法を開発した。柱・横架材接合部実験を行った。接合部には全て短ほぞを用いた。引張実験,せん断実験,曲げ実験を行った。引張実験では,かすがい併用,ホールダウン金物併用,内使いL型金物併用,2枚ハンチ型金物併用,1枚ハンチ型金物併用の5種の試験体を用いた。せん断実験では,短ほぞのみ,かすがい併用,内使いL型金物併用,2枚ハンチ型金物併用,1枚ハンチ型金物併用の5種の試験体を用いた。曲げ試験では,短ほぞのみ,かすがい併用,ホールダウン金物併用,内使いL型金物併用,2枚ハンチ型金物併用,1枚ハンチ型金物併用の6種の試験体を用いた。これらに対して繰り返し載荷実験を行いその履歴特性を把握した。 さらに,制振ダンパーを組み込んだ制振壁を作成し強制変位動的載荷実験を行って,その動的挙動を把握した。試験体は,3Pとし,高さは2730mmとした。制振ダンパーとしては,速度依存型ダンパーとして粘弾性体を用いたもの,変位依存型として摩擦ダンパーを用いたものを用意した。木質架構壁のシアリンク機構を利用して,架構内に取り付けだダンパーに変形を生じさせる機構となっている。シアリンクを成立させるために,K型ブレースを用いた。強制変位動的載荷は,制振架構を導入した木質住宅履歴の骨格曲線を仮定し,そのモデルの等価周期から振動数を決定して行った。また振動台実験を行うことにより,実験結果から本制振壁の有効性を示した。 これらの研究経過の中から,木質制振壁の力学的特性をさらに精度よく把握するために,3P試験体連梁効果の影響,内装材・外装材の影響を調べる必要性が生じた。今年度は、昨年度と同様な3P試験体に,内装材・外装材を付加して強制変位動的載荷実験を行った。実験結果を詳細に検討して,応答低減・損傷制御に優れた戸建制振住宅の開発に有益な成果が得られた。
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