研究概要 |
初年度は,接合金物を用いた木質戸建軸組住宅の力学的挙動を把握し,その性能評価法を開発した.まず,柱・横架材接合部実験を行った.接合部には全て短ほぞを用いた.引張実験,せん断実験,曲げ実験を行い,繰り返し載荷実験を行いその履歴特性を把握した.さらに,制振ダンパーを組み込んだ制振壁を作成し強制変位動的載荷実験を行って,その動的挙動を把握した.試験体は,3Pとし,高さは2730mmとした.制振ダンパーとしては,速度依存型ダンパーとして粘弾性体を用いたもの,変位依存型として摩擦ダンパーを用いたものを用意した.木質架構壁のシアリンク機構を利用して,架構内に取り付けだダンパーに変形を生じさせる機構となっている.シアリンクを成り立たせるために,K型ブレースを用いた.強制変位動的載荷は,制振架構を導入した木質住宅の履歴の包絡曲線を仮定し,そのモデルの等価周期から振動数を決定して行った.また振動台実験を行うことにより,実験結果から本制振壁の有効性を示した.2年度は,木質制振壁の力学的特性をさらに精度よく把握するために,3P試験体連梁効果の影響,内装材・外装材の影響を調べる実験を行った.初年度と同様な3P試験体に,内装材・外装材を付加して強制変位動的載荷実験を行った.実験結果を詳細に検討して,応答低減・損傷制御に優れた戸建制振住宅の開発を行った. 最終年度は,提案制振壁に用いる接合部の詳細な挙動を把握するために不足している実験を行い,これまでの実験を中心とした研究成果とあわせて制振住宅の挙動を予測する解析モデルを作成した.さらにこのモデルを用いた解析ならびに,これまでの研究成果を詳細に検討して,木質戸建軸組住宅に制振壁を組み込んだときの挙動の評価を行って,設計法の提案を行った.
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