研究概要 |
低軸力下での普通強度鉄筋コンクリート柱の挙動を調べるための実験を行った。試験体は全部で10体作成した。主な実験パラメータは,試験体の寸法と載荷履歴とした。一辺500mmと250mmの試験体を作成した。せん断スパン長さ,かぶり厚さ,主筋や横補強筋の直径など,その他の寸法もすべて1:2で設計した。ただし,降伏強度が完全に同一で直径のみが1:2の横補強筋を入手することは不可能であるため,p_wσ_yが一致するように横補強筋の間隔を調整した。主筋についても同一の降伏強度を得ることは不可能なので,曲げ降伏時の平均せん断応力度が一致するようにせん断スパン長さを調節した。 付着破壊が生じないように,片持ち梁形式で加力した。試験体の周囲に変位計を設置して,コアコンクリート領域の変形状態を測定した。一部の試験体については,最大変形時に荷重をかけたままで低粘性エポキシ樹脂を注入し,硬化後に除荷した。その後,鉄筋を含む箇所をダイヤモンドカッターで切除し,工業用CTスキャンによる内部ひび割れ観察を行った。 CTスキャンによるひび割れ面の形状を三次元的に分析し,フーリエ解析を行った。その結果,ひび割れ面は,従来から指摘されてきたような骨材寸法レベルの凹凸だけでなく,もっと大きな波長の凹凸が存在すること,しかも,その凹凸は試験体の表面付近と中心部では様相が異なることがわかった。
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