研究概要 |
鉄筋コンクリート柱をアラミド繊維でせん断補強した場合の三次元ひび割れについて,実験的に調べた。付着破壊が生じないように,片持ち梁形式で加力した。ピアノ線を用いて,コアコンクリート領域の変形状態を測定した。最大変形時に荷重をかけたままで低粘性エポキシ樹脂を注入し,硬化後に除荷した。その後,鉄筋を含む箇所をダイヤモンドカッターで切除し,X線による内部ひび割れ観察を行った。以下のことがわかった。 (1) せん断補強量が多いほど柱断面の中心とアラミド繊維近傍の内部ひずみの差が大きくなった。このことから,アラミド繊維のせん断補強によって断面が樽型に変形していることが確認できた。 (2)低補強試験体(p_<wy>=0.03%)は,補強形式が同一だったにもかかわらず,2つの試験体の内部ひび割れに大きな違いが見られた。一つの試験体では,断面が樽型の変形をしていた。一方,もう一つの試験体では,樽型の変形がほとんど見られなかった。後者の試験体は,p_<wy>0.1%の試験体より高い耐力を示した。 (3)高補強試験体(p_<wy>=0.1%以上)の内部ひび割れは,アラミド繊維近傍において細かく,枝分かれが広く均等に発生していた。また,アラミド繊維近傍(特に柱断面の四隅)において主圧縮ひずみが顕著であった。これが原因となってアラミド繊維が柱の角で破断したと考えられる。すなわち,高補強試験体では,アラミド繊維近傍でトラス機構が強く働き,せん断力を負担していることが分かった。
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