研究概要 |
本研究では,小粒径から大粒径までの骨材を用いた広範囲のポーラスコンクリートについて,内部空隙構造に立脚した統一的な理論体系を構築することを目的とする。本年度においては,品質評価および性能に関する検討を行った。 (1)空隙率の測定方法の改善に関する検討 ポーラスコンクリートの空隙率は,ポーラスコンクリートの全ての性能に影響する非常に重要な物性値であるにもかかわらず,近年の使用骨材の多様化などにより,従来の方法では正確に測定できない場合も出てきた。これに対して本研究では,フレッシュコンクリートの空気量測定方法を応用した容積圧力法による空隙率の測定方法を提案し,その妥当性に関する検討を行った。その結果,容積圧力法を用いることにより,小粒径ポーラスコンクリートについても正確に空隙率を測定することが可能となり,また,測定時間も大幅に短縮することができることが明らかとなった。 (2)体積変化特性の把握およびモデル化 ポーラスコンクリートの乾燥および温度変化による体積変化特性に関しては,これまでにほとんど検討されてこなかった。このため本研究では,ポーラスコンクリートの乾燥収縮率および熱膨張係数を把握するための実験を行った。その結果,基礎的な体積変化特性が明らかとなり,さらに,ポーラスコンクリートの体積変化特性を予測するための内部構造を考慮したモデルを提案した。 (3)温度変化特性に関する実験 都市部のヒートアイランド現象が問題視される中,ポーラスコンクリートの保水性を利用した舗装により,夏期の路面温度を低減するための研究が進められている。本研究では,夏期の屋外におけるポーラスコンクリートの熱特性に関して基礎的な実験を行った。その結果,ポーラスコンクリート舗装の熱特性が明らかとなり,ポーラスコンクリート舗装を利用した,より自然に近い都市部の熱緩和システムの構築の可能性を示した。
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