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2006 年度 実績報告書

ワイヤレス・センサ・ネットワークによる広域振動モニタリングに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18360269
研究機関武蔵工業大学

研究代表者

濱本 卓司  武蔵工業大学, 工学部, 教授 (10228546)

キーワードワイヤレス・センサ・ネットワーク / 広域振動モニタリング / サンプリング周波数 / 分解能 / 微弱無線 / 同期 / 環境振動 / 地震動
研究概要

初年度であり,まずワイヤレス・センサ・ネットワークのノードとなるセンサモジュールの開発を行った。今年度、開発したセンサは,サイズ30mmx40mmの基盤上に半導体センサ,リアルタイム・クロック,記録装置ボタン型電池を配置し微弱無線用アンテナをつけたモジュールである。開発したモジュールの数は10である。まず,ワイヤレス機能をはずし,有線の常時微動測定器の結果と比較することによりセンサ性能の確認を実施した。同じ振動台上に二つのセンサを設置して計測したところ,両者の結果はほとんど同じ値を示し,半導体センサの性能は問題ないことを確認した。次に,ワイヤレス機能の性能実験を行い,野外における通信可能距離はほぼ10m,サンプリング周波数は約50Hzであることを確認した。また,リアルタイム・クロックを用いたセンサ間の同期も機能することを確認した。ただし,半導体センサの分解能は1gal程度と粗く,安全性にかかわる地震動計測は特に問題ないものの,快適性にかかわる環境振動になると0.1-0.01galの分解能はほしいところなので,より高感度の半導体センサを搭載する必要があることも明らかになった。しかし,高感度の半導体センサの開発は国内外を含め遅れており,今後,既存センサの小型化・ワイヤレス化を狙うか,あくまで半導体センサにこだわるかの方針を選択すべき状況になっている。
次に,開発したセンサモジュールを用いて,通常時の広域振動モニタリングを中心に,ワイヤレス・センサ・ネットワークの性能確認を実施した。開発したモジュールは,環境振動測定には分解能が低いという問題はあるが,今回は,環境振動の中でも振動レベルの高い電車軌道周辺の振動測定と橋梁上での自動車通過に伴う振動測定を実施し,実環境の中でワイヤレス・センサ・ネットワークが機能しうるかどうかの確認を行った。複数のセンサモジュールからワイヤレスで転送された時系列データ及びそのスペクトル解析の結果から,ネットワーク計測により軌道からの距離による鉄道の上り線と下り線の影響の違い,橋梁と自動車の振動数の分離などが検討できることが確認された。ただし,ノイズ混入による転送時間の伸びや冬季の夜間など寒冷時に計測を行うと電池の寿命が極端に短くなるという問題点が明らかになった。
次年度からは,比較的頻度の高い震度1〜2の地震動の計測を屋内と屋外で実施する予定にしており,そのための準備も行った。大量のデータを計測する振動計測においては,現在の微弱無線ではデータ転送距離が短く転送時間も長くなるという問題を抱えており,今後ZigBee方式のデータ転送も視野に入れている。また,地震動を対象とする場合は,上部構造と基礎構造の局所的な損傷を直接検出することも必要であり,振動モニタリングを補完するセンサシステムの導入も考慮中である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (11件)

  • [雑誌論文] 振動・波動計測によるPHC杭の総合的ヘルスモニタリングに関する室内実験2007

    • 著者名/発表者名
      濱本卓司, 大村哲矢, 堀内大悟
    • 雑誌名

      日本建築学会構造系論文集 612

      ページ: 47-54

  • [雑誌論文] 抗張カルマンフィルタによる有効剛性と等価粘性減衰のオンライン同定2007

    • 著者名/発表者名
      宮下英人, 濱本卓司
    • 雑誌名

      理論応用力学講演会講演論文集 56

      ページ: 351-352

  • [雑誌論文] 遂次最小二乗法による多層建築物の地震損傷追跡2006

    • 著者名/発表者名
      濱本卓司, 森田高市, 相馬澄子
    • 雑誌名

      日本建築学会構造系論文集 603

      ページ: 39-46

  • [雑誌論文] 曲げせん断モデルと遺伝的アルゴリズムを用いた多層建築物の損傷検出2006

    • 著者名/発表者名
      篠崇, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 B-2

      ページ: 903-904

  • [雑誌論文] テンション材を利用した立体トラスの損傷部位の特定2006

    • 著者名/発表者名
      杉山雄亮, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 B-2

      ページ: 905-906

  • [雑誌論文] 杭剛性の段階的同定手法の実建物への適用2006

    • 著者名/発表者名
      猿木孝宏, 稲田耕太郎, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 B-2

      ページ: 921-922

  • [雑誌論文] 損傷モデルを用いた建物・杭連成系の地震損傷予測2006

    • 著者名/発表者名
      渡辺拓也, 崔井圭, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 B-2

      ページ: 923-924

  • [雑誌論文] 場所打ちRC杭の総合的ヘルスモニタリングに関する室内実験 その1 振動計測による損傷検出2006

    • 著者名/発表者名
      堀内大悟, 崔井圭, 大村哲矢, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 B-2

      ページ: 945-946

  • [雑誌論文] 場所打ちRC杭の総合的ヘルスモニタリングに関する室内実験 その2 波動計測による損傷検出2006

    • 著者名/発表者名
      崔井圭, 堀内大悟, 大村哲矢, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 B-2

      ページ: 945-946

  • [雑誌論文] ワイヤレス・センサ・ネットワークによる環境振動広域モニタリング その1 想定センサネットワーク2006

    • 著者名/発表者名
      相良夏子, 渡部卓也, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 D-1

      ページ: 945-946

  • [雑誌論文] ワイヤレス・センサ・ネットワークによる環境振動広域モニタリング その2 センサモジュールの予備的試験2006

    • 著者名/発表者名
      相良夏子, 渡部卓也, 濱本卓司
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術梗概集 D-1

      ページ: 945-946

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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