研究概要 |
住宅の躯体内部通気が室内空気環境に与える影響について,内部汚染物質の挙動と室内空気質への影響に注目し,以下の研究を行った。主要な住宅構法における内部通気ネットワークの実態調査では,工務店などを対象にしたアンケート調査結果の分析によって,在来木造を中心に,断熱気密工法の実施状況を把握した。主要な住宅構法における内部通気ネットワークの定量化では,スライスモデルを製作して隙間量を測定し,基本的な工法に関するデータを整備した。内部通気の年間推移の数値実験では,構法及び換気方式が異なるシミュレーションによって,それぞれの場合の隙間通気及びIAQの年間特性を把握した。内部空間内の気流性状の数値実験では,シミュレーションプログラムの基礎的な検証を模型実験によって行った。内部空間の換気・気流による内部結露とカビ発生環境の調査・実験では,数十嫌の住宅における床下及び壁内のカビ数の実測を行い,これらの内部空間のカビ汚染が室内空気質(IAQ)に与える可能性関する知見を得た。以上によって,隙間ネットワークを介した内部空間(床下,壁内,天井裏)からの汚染物質の侵入によるIAQへの影響が確認され,建物設計・換気設計において考慮すべき新たな要素となった。また,生物汚染に関しては,壁内や床下からのカビの室内侵入があり,特に床下についてはカビ数が多い事例があり,注目する必要性が示された。床下のカビ汚染の憂慮すべき実態把握が行われたことから,床下からの汚染物質挙動に注目して,とりまとめを行う。また,内部空間内の気流性状の数値実験を行った。
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