医療・福祉施設においては、特殊な臭気の問題を抱えており、人の感覚に基づく経験的な対処法や一時的に臭気低減効果が得られるものでごまかしているため、様々な立場の人にとってストレスとなる臭気問題の解決に至っていないことが明らかとなっている。本研究は、環境を充実させるために解決しなければならない要素である看護・介護環境特有の臭気について、定性的および定量的に特性を明らかにし、適切な臭気対策を明らかにし、臭気によるストレスのない快適な看護・介護環境を創出することを目的としたものである。本年度は最終年度であり、成果は下記の通りである。 (1)病院、高齢者施設の職員に脱臭機について、より具体的な要望を引き出し、操作性向上において必要な要素を明らかにするための資料を収集した。 (2)おむつ交換時を対象とした脱臭機を作成し、原因臭気成分を用いて充分な効果を得られることを実験室レベルで確認し、その脱臭機を用いて現場での調査を行った。その結果、吸引用のダクトを装着せず、臭気が拡がる空間を狭める工夫をし、脱臭機を用いることで許容レベル以下の臭気環境を実現できることが明らかとなった。 (3)現場において、脱臭機の効果を確認するために、簡易な臭気測定・評価方法を検討したが、現在使用しているにおいセンサーでは感覚量と対応が取れない部分があり、更なる検討が必要であると考えられた。 (4)本研究によって、おむつ交換時の臭気発生量は多量であることが明らかとなり、通常の空気清浄機では室内に長時間、臭気が残留することが明らかとなった。そのため、おむつ交換時には処理能力を向上させることができる空気清浄機を室内へ設置する必要があり、許容レベル以下に保つことが可能な空気清浄機の性能を確認することができた。
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