研究課題
平成18年度は、主に文献調査を中心として、弱視(ロービジョン)と全盲の状態の人々に関する基礎的情報を収集した。同時に視覚障害当事者との予備的ヒアリングを進め、特に弱視の状態に関する基礎的な情報の収集を行った。また視覚障害者誘導用ブロックの整備計画に関わり、視覚障害者が誘導用ブロックの配置計画に参加するためのコーディネートを行い、加えてある自治体において、広域的な案内サインシステムの開発にも参加した。研究発表に関しては、全盲からロービジョンにわたる様々な見え方を備えた大学生のキャンパス内の移動に関する研究についての結果をまとめ、日本建築学会の論文誌に発表し掲載された。また、中途で失明した人々の日常生活範囲についての調査結果をまとめ、日本建築学会大会において口頭発表を行った。また、大学キャンパス内における誘導ブロックの使用感について、全盲とロービジョンの視覚障害者による検証実験を行い、その結果を国際ユニヴァーサルデザイン会議に審査論文として発表した。平成19年度は、ロービジョンと晴眼者を対象とした、眼科医院内での歩行時における注視傾向をアイマークレコーダを用いて測定する実験を行った。これは、室内環境におけるロービジョン者の注視傾向を明らかにすることを目的としたもので、視野・視力と歩行様態、並びに注視傾向の関係を分析した。結果、ロービジョン者は晴眼者に比べ同じコースでも長距離を、時間をかけて歩くことが確認され、またこの傾向は視野が狭い者に顕著であることが判明した。また歩行の際、ロービジョン者は晴眼者に比べより多くの手がかりに注意を向けながら歩いていることも判明した。アイマークレコーダによる注視点の分析からは、ロービジョン者は晴眼者に比べより近い距離を、頻繁に注視していることが判明した。またこの傾向は視野の狭い者に顕著であり、かつ視野の狭い者は注視点までの俯角が大きいことも判明した。注視対象に関しては、ロービジョン者は床面、特に床のエッジ上の部分を注視する傾向があり、また家具などを注視しない傾向があることが明らかになった。また、これらの傾向は、視野と視力によって多少異なり、全般的には視野の狭い者に顕著であることが明らかになった。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
日本建築学会 計画系論文集 No.614
ページ: 105-113
The 2nd International Conference for Universal Design, in Kyoto 2006, 0-090J (プロシーディングは作成中)
ページ: 509-578
日本建築学会大会学術講演梗概集 E-1分冊
ページ: 1041-1042
ページ: 1043-1044