本研究は、打開策の見えない地方都市中心市街地の活性化に向けて、これまで定性的には言及されるものの、その実態が十分に解明されていない固定資産税と駐車場という2つの視点を両輪と位置づけて、都市経営の視点からこの問題点を指摘し解決策を提示することを目標とした。 【視点:1 地方都市財政の視点から見た市街地整備による固定資産税の制御】 長岡市の固定資産税収入、地区別の土地・家屋評価について平成8年から平成18年の8年分のデータを分析した結果、中心市街地の主要な地区である阪之上地区の税収は平成12年度までは最も高かったが、評価額の下落により平成18年度は31地区中8位にまで低下していた。また、市街地整備と税収の関係を分析した結果、新規に市街化区域編入された古正寺地区では、急激な課税標準額の上昇が見られたが、中心市街地およびその周辺部での減少はこれを大きく上回るため、市全体として減少しているという実態が明らかとなった。今後は都市経営的視点での税収の維持を目的とした中心市街地の整備の重要性が確認された。 【視点:2 中心市街地で増加する平面駐車場の制御】 20年以上前の1985年頃から中心市街地活性化に取り組むシェイプアップ・マイタウン計画策定都市全国20市での調査を行った結果、平面駐車場の総面積は、宅地に当たる街区面積に対して、中心市街地で11%、1970年DID内で6%を占めていることが明らかとなった。また、現状での各市の認識およびその対応は十分なものではなかった。また、長岡市を事例として月極駐車場の利用実態について把握したところ、現時点では96.6%の契約率であり、非常に高い結果となった。駐車場は必要不可欠であるが、必要以上に増加すると、市街地としての魅力を低下させてしまうため、それらの利用率の向上と集約化が必要であり、都市経営的視点からこれらのマネージメントの重要性を指摘した。
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