臨地調査については、まず、滋賀県立大学の特別研究プロジェクト(「東アジアの城郭都市の比較研究」)に参加することを求められた関連で、予定外であったが、中国都城の系譜に関して、西安-洛陽-開封について、回民地区を中心とした調査を行うことが出来た。また、倭城の調査に関連して研究室で続けている韓国都市の都市型住宅についても短期間の調査を行った。インド・イスラーム都市の系譜として、サマルカンド、ブハラなど中央アジアについて、短期間の調査を行うことが出来た。また、研究室ではヴァーラーナシー調査を行った。さらに、都市型住宅の典型としてショップハウス(店屋)をめぐって、当初は、福建、広州を主ターゲットとする予定であったが、台湾の蓄積があることから、台湾と福建の間を探るべく膨湖島に焦点を当てた。ショップハウスという意味では馬公が中心であったが望安島の集落調査も比較のために行うことができた。 インド・イスラーム都市をめぐって、調査と併行して、『ムガル都市-イスラーム都市の空間変容-』(京都大学学術出版会)のまとめに多くの時間を割いた。イスラーム都市の原型として、オアシス都市の系譜を明らかにし、西アジアについてもある程度見通しをもつことができた。昨年行った、最終年度に想定していたスラバヤのカンポン(都市村落)調査については、研究室の学生の修士論文としてほぼまとめることができた。来年度には論文として公表を考えたい。四半世紀を経た同じ都市の居住地を調査することによって極めてユニークな論文となる
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