臨地調査については、重点調査として、中国・福建をターゲットとし、泉州について予定通り行った(2008年8月下旬)。また、福州、アモイについても資料収集を行った。昨年度の膨湖島調査と合わせて、中国福建と台湾との都市組織に関する関係についてある程度の見通しを得ることが出来た。イスラーム都市の系譜として、マグリブの諸都市について、臨地調査を行う計画であったが、イエメンの高層住宅の系譜を優先し、マグリブについては断念した。イエメンでは、サナア、シバームの他、ムカッラにおいても調査をおこなった。さらに、東南アジア大陸部について見通しをつけたいとしていたが、ラオスのヴィエンチャン、ルアンパバンについて調査を行った。ベトナムからチャイニーズによってショップハウスが持ち込まれていることがはっきりし、ひとつの系譜を明らかにすることが出来た。 前年度の研究成果は、6編の審査論文(ヴァーラーナシー、西安、タイ、インドネシアのカンポン)他、学会発表論文として速やかにまとめた。また、布野修司・山根周、『ムガル都市--イスラーム都市の空間変容』(京都大学学術出版会、2008年5月)を上梓することができた。
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