研究概要 |
「現地調査訪問による資料収集と作品の調査研究」として下記の研究を遂行した。フィンランド(アルヴァ・アアルト),北米(ルイス・カーン)にて作品,草案群のスライド撮影,スケッチを行うことによる,作品の内部構成,外部構成,および周辺環境の調査分析(前田)。建築家の思索の形成過程をたどる目的のもと,ル・コルビュジエの渡航記録に基づく,トルコ,ギリシアでの現地調査(富永)。これらの成果の一部は,本研究の中間報告として,京都大学にて開催されたシンポジウムにおいて公表された(「建築作品の生成を考える」,平成18年12月22日,於京都大学建築学専攻)。 「建築作品の生成過程の分析による実証的・存在論的研究」として,ルドルフ・シンドラーおよびアルヴァ・アールトのステイトメント読解を通して建築家の方法概念を究明するとともに,図面資料としてのアーカイヴを入手,以下の作業によりシンドラー,アールトの住宅作品の形成過程を分析した(前田)。(1)ドローイング(図面,草案)の収集とそのデータベース化。(2)生成過程の整理・分類をとおした分析と解読。フォーム変容過程の分析は精密なダイアグラム作成を通して遂行される。(3)平面図,断面図の変容過程の分析は最終案成立のモーメントを列記することをとおしてなされる。ダイアグラムA(平面図に即して),B(Aを抽象化したもの,フォームの概念に対応する)によるフォーム分析の遂行。ダイアグラムC(主室と外部との相関関係を図式化したもの)によるルーム分析の遂行。(4)模型作成によるフォーム検証,ルーム検証,(5)建築家独自のデザインエレメントの分析(デザイン分析)。各作品研究の成果の比較検証と総合的解釈。建築家独自の方法概念の分析。これらの成果の一部は,日本建築学会近畿支部研究報告集(平成19年3月投稿,6月掲載,発表),および日本建築学会学術講演梗概集(平成19年4月投稿,8月掲載,発表)への論文掲載により公表した。また,「20世紀の主要建築家の「言葉」の収集とその分析による制作の「方法概念」の研究」として,アルド・ファン・アイクのステイトメントより「言葉」を収集,整理・分析し,とくに建築家の制作の方法概念についての鍵語の分析を行った(朽木)。この成果について,日本建築学会計画系論文集へ投稿,掲載が決定した。
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