研究課題
以下のような研究を実施した。(1)『内裏儀式』・『内裏式』『(貞観)儀式』『江家次第』の宮殿儀式に関する記事の内、紫宸殿・清涼殿の儀式に関する記事を天皇の座に着目して整理し、その特徴を解明した。これにより、天皇の座に倚子座・大床子座・平座の3種類があること、紫宸殿では倚子座と大床子座が清涼殿では倚子座と平座が見られること、天皇の座を設ける位置や座の違いの背景に紫宸殿・清涼殿の空間の変遷が想定できることなどが明らかになった。(2)『大唐開元礼』の読解を進めた。元服に関する記述を読解し、我が国の天皇元服との比較を行った。(3)中国の宮殿建築を手本として発展した日本・朝鮮・ベトナムおよび中国の宮殿建築の空間的な比較を行うために、現地調査及び韓国・ベトナムの研究者を招いた国際シンポジウム(平成19年3月)を実施した。これによって各国の宮殿建築の特徴を確認することができた。次年度以降、これらの国々で行われていた宮殿儀式の違いを比較研究することにより、空間と違いと儀式の違いについて比較検討する予定である。(4)遊牧民族の国家であるセルジュク朝トルコの宮殿建築を検討するために、トルコ国内の宮殿遺跡及びセルジュク朝トルコのスルタンが遊牧のために移動した路程を現地調査した。この調査により、宮殿とキャラバンサライと呼ばれる隊商宿の間に強い繋がりを認めることができた。(5)前項の成果を踏まえて、トルコ・プルサに残るキャラバンサライ・コザハンの実測調査を実施した。現在実測平面図などを製作中である。今後、宮殿遺跡であるクーバーダ・バードの実測調査を行い、両者を比較研究する予定である。
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Selected Proceedings of the International Conference on East Asian Architectural Culture, Nanjing 2004
ページ: 97-102
International Symposium for the Inauguration of Architecture Research Institute
ページ: 37-46