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2009 年度 実績報告書

局所領域三次元原子構造解析のための電子線励起X線ホログラフィーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18360300
研究機関東北大学

研究代表者

林 好一  東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20283632)

研究分担者 宇佐美 徳隆  東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20262107)
キーワードホログラフィー / 電子顕微鏡 / 三次元原子像 / 局所構造 / 結晶構造
研究概要

電子線励起X線ホログラフィーにおいては、より低濃度の試料を測定するには、通常の半導体検出器ではなく、分光結晶を用いエネルギー分解能を向上させた検出システムが必要になる。そこで、我々は、高温加圧法によって円筒状に成型したGeの分光結晶を作製し、さらにその発展型として、一度に複数の元素からの特性X線を、受光面積の狭いX線CCD上に一度に結像させることが可能となる曲率傾斜結晶を作製した。研究室のX線源を用いた測定では、NiからGaまでの特性X線を全てエネルギー分解能15eV以下でスペクトルに変換させることに成功した。また、そのシステムをSEMに組み込むために、曲率傾斜結晶をSEMチャンバー内で調整できる5軸ステージの開発と、X線CCDを取り付けるためのチャンバーとステージを製作した。一方、X線ホログラフィーにおいては、T1系の熱電材料のひとつであるT1InSe2を対象試料として、T1原子を中心としたホログラムの測定を行った。ホログラムから原子像を再生させた結果、中心T1原子に最も近いIn原子は明瞭に観測されたが、2番目に近いT1原子は極めて弱かった。T1原子による散乱は散乱断面積が非常に大きいので、In原子による散乱と比較して強いはずである。従って、本結果は、インコメンシュレート相においてT1原子の原子位置に大きなゆらぎが存在することを示している。中心T1原子が独立にこのような大きな位置ゆらぎを持つのであれば、全体的にイメージが弱くなるはずであるが、In原子の像は明瞭であるので、最近接In原子はT1原子のゆらぎに追随して変化していると考えられる。このように、T1原子は大きくゆらいでおり、また、そのゆらぎが独立ではなく、最近接In原子と強調しながら起こっているらしいことを見出した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Phase transition in Ti_<50>Ni_<44>Fe_6 studied by x-ray fluorescence holography2009

    • 著者名/発表者名
      W.Hu, K.Hayashi, T.Yamamoto, N.Happo, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review B 80

      ページ: 060202(R)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reconciling the Pauling bond length picture and Vegard's law in a mixed crystal : An x-ray fluorescence holographic study2009

    • 著者名/発表者名
      S.Hosokawa, N.Happo, K.Hayashi
    • 雑誌名

      Physical Review B 80

      ページ: 134123

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      桜井健次, 林好一, 他
    • 雑誌名

      X線反射率入門(講談社サイエンティフィク)

      ページ: 248-261

  • [学会発表] Introductory Talk2010

    • 著者名/発表者名
      林好一
    • 学会等名
      日本物理学会 第65回年次大会
    • 発表場所
      岡出大学
    • 年月日
      2010-03-21
  • [学会発表] Recent advances in X-ray fluorescence holography2009

    • 著者名/発表者名
      林好一, N.Happo, S.Hosokawa, T.Matsushita
    • 学会等名
      11th international conference on electronic spectroscopy & structure
    • 発表場所
      Nara prefecture new public hall
    • 年月日
      2009-10-07
  • [備考]

    • URL

      http://www.xraylab.imr.tohoku.ac.jp/member/hayashi/index.html

  • [産業財産権] 分光結晶、波長分散型X線分析装置および元素分布測定方法2009

    • 発明者名
      林好一、中嶋一雄、森下浩平
    • 権利者名
      東北大学
    • 産業財産権番号
      特願2009-252190
    • 出願年月日
      2009-11-02

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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