研究課題/領域番号 |
18360304
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松原 英一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (90173864)
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研究分担者 |
高橋 幸生 大阪大学, 工学研究科, 特任講師 (00415217)
西野 吉則 理化学研究所, X線自由電子レーザー計画推進本部 利用グループ, 先任研究員 (40392063)
奥田 浩司 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50214060)
香村 芳樹 理化学研究所, X線自由電子レーザー計画推進本部 利用グループ, 先任研究員 (30270599)
市坪 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40324826)
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キーワード | X線回折顕微鏡 / 位相回復 / イメージング / コヒーレント散乱 / 放射光 |
研究概要 |
X線回折顕微鏡測定では、試料から得られるスペックルパターンと呼ばれる鋭い回折強度分布を精密に測定し、反復位相回復法を用いて回折プロファイルから試料の透過像を得る。この際に、位相回復を正確に行うために、オーバーサンプリング条件を満足する必要がある。ただ、現状での検出器の測定領域の大きさと位置分解能による制約から、測定試料の大きさは直径1μm程度に制限されている。本年度は、この試料形状の制約を解除する方法について研究した。まず一つ目の取り組みとして、幅が1μmの線状試料を用いて測定を行い、得られたスペックルパターンから線状試料の投影像の結像試験を行った。その結果、得られた像の解像度を改善するためには、測定方法や結像方法にさらなる改良が必要であるが、幅が1μm程度の線状試料であれば、X線回折顕微鏡を用いて像を再生できる可能性があることが明らかになった。それ以外に、タイコグラフ法(J.M.Rodenburg et al., PRL, 98, 034801 (2007))と呼ばれる手法についても検討した。この方法を用いることにより、試料が大きい場合でも、スリットで小さく絞った入射光を照射し、測定領域を少しずつ重ね合わせて測定した試料からのスペックルパターンを使い、位相回復を行う。実際にこの方法を、ゾーンプレイトを試料にして試みた。その結果、位相回復に成功し、ゾーンプレイトの像を再生することができた。しかし、この方法の問題点として、スリットからの比較的強い干渉が試料からの回折強度に重畳して観察された。すなわち、今回測定に用いたような試料からのスペックルパターンの強度が十分強い場合には、位相回復ができるが、弱い場合には位相回復が困難であることを明らかにした。
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