研究課題/領域番号 |
18360306
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小山 泰正 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20150295)
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研究分担者 |
弘津 禎彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70016525)
平田 秋彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90350488)
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キーワード | 拡散・相変態・状態図 / 結晶構造の階層性 / 高次構造 |
研究概要 |
Fe-Mo合金には、λ、R、μ、およびσ相の4種類の金属間化合物相が存在する。以前我々は、これら相の中でμ相の結晶学的特徴を透過型電子顕微鏡で調べ、μ構造での階層性、すなわち12配位多面体を一次構造とする高次構造の存在を明らかにした。本研究では、μ構造と同様に、12、14、15、および16配位多面体から成るR相の結晶構造に注目し、この構造での階層性の有無および特徴について検討した。具体的には、(bcc→bcc+R)反応を利用して、この反応の際に現れる準安定析出物の結晶学的特徴を調べた。本研究では、まず(bcc→bcc+R)反応での初期状態となる準安定bcc状態を得る為、Fe-18at.%Moアーク溶解塊をbcc単相の1673Kで24時間保持し氷水中に急冷した。準安定析出物を得るための熱処理は、(bcc+R)二相領域の1523Kにおいて所定の時間保持を行った。得られた試料の結晶学的特徴に関しては、JEM-3010(300kV)透過型電子顕微鏡を用いた。作製したすべての熱処理試料は、(bcc+R)の二相共存状態であることが分かった。得られたbccとR構造間の方位関係は、[111]bcc//[0001]R、(12-3)bcc//(-714-70)Rである。ここで本反応での注日すべき点は、1分保持の試料中に、R構造形成の初期および中間状態を示す準安定析出物が存在することである。そこで、これら準安定析出物の高分解能像を撮影し解析したところ、2種類の準安定析出物の状態は、初期状態に対応する不規則原子コラム状態と中間状態の原子コラム分域状態として同定されることが分かった。これら結果を踏まえ、R構造の一次構造を同定するため、bcc構造と12および16配位多面体での原子位置を比較した結果、16配位多面体の形成には共有結合性ボンドを生む比較的大きな原子変位を必要とすることが分かった。
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